【映画】大人も子供も抱きしめられたい。きみはいい子のあらすじと感想。

こんにちは。つむりです。

高良健吾さん主演の「きみはいい子」を鑑賞しました。

なんだか涙が止まらない映画でした。

「感動した」感情を揺さぶられた涙なんじゃないかな。

印象に残っているセリフは、

「子供をかわいがれば、世界が平和になるわけ。」

そんなに甘くないと思う人もいるかもしれませんが、僕はこの言葉は間違ってないと思う。

うん。とてもいい映画でした。

きみはいい子

公開2015年
原作中脇初枝
脚本高田亮
監督呉美保(オカンの嫁入り、そこのみにて光輝く)
出演高良健吾
尾野真千子
池脇千鶴
高橋和也
喜多道枝
黒川芽以
内田慈
松嶋亮太
加部亜門
富田靖子

映画は、原作の短編集の「きみはいい子」から、「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」にスポットをあてた作品になっています。

「きみはいい子 あらすじ」

きみはいい子

桜が丘小学校に赴任した教師の岡野匡(高良健吾)は、小学校の近くに一人で暮らす老女・あきこの家を訪れた。

学校の児童が、近くの家の呼び鈴を鳴らして逃げるイタズラをしていたことから、岡野が謝罪に訪れていたが、あきこは気に留める様子もなく笑って許してくれた。

しかしあきこは「桜がキレイ」と言い、もう6月なのにと岡野は不審に思ったが、先輩教師があの人は認知症だと教えてくれ納得した。

後日、呼び鈴を鳴らすイタズラはもうしないようにと話した後、授業を始めようとすると、教室の一番後ろの席にいた生徒がお漏らしをしてしまい。教室は一時騒然とした雰囲気になる。

まだ、着任して日が浅いため、生徒に舐められてしまう岡野はこんなときにもなかなかうまく生徒を誘導出来ないでいた。

その後、お漏らしをした生徒からクレームが入り、先輩教師が間に入る形でなんとかその場は納まった。

水木雅美(尾野真千子)は、外に出ると常に周りの人の顔色をうかがっており、ママ友グループと一緒に公園で子供を遊ばせていたりするが、家に帰ると言うことを聞かない娘のあやねにいら立ち度々手をあげていた。

いつしか、子供同士が仲良くなったこともあり、同じくママ友の大宮陽子(池脇千鶴)と、一緒にいることが増え、大宮も他のママ友といるより、「水木さんといる方が気を遣わなくていい」と言うようになる。

きみはいい子

ある日、あやねがベビーカーを押させてと言い、水木は「危ないからダメ」というが、大宮がマンションまでならいいよと許可し、押し始める。

その直後、大宮の子供も手伝うと言い押し合いになり、ベビーカーを倒しそうになる。

乗っていた赤ちゃんは無事だったが、水木はあやねへの怒りが収まらず家に戻ると、「ごめんなさい」と泣き続けるあやねに対し「うるさい!」と何度も手をあげた。

少し冷静になると、自分のしてしまったことを後悔し、嫌悪感にまみれて泣いてしまう。

水木も幼い頃に、親からの虐待にあっており、いつも隠している手首の辺りにはタバコの火傷の跡があった。

「きみはいい子」3人の登場人物

原作では短編集ということもあり、3人の登場人物にスポットを当て、話が進んでいきます。

岡野匡の話

きみはいい子

小学校一年生の担任の岡野、生徒との折り合いがつかずいつも悩んでいます。

ある日、クラスの男の子がお漏らしをしてしまい、クラスは騒然とします。

モップで掃除をし、対処したものの、その後その生徒の親から電話があり、「お漏らしをしたのは先生のせいだ、怖くて言い出せなかったからだ」と言われてしまいます。

岡野が弁解しようとしても、聞く耳を持っておらず、学年主任に電話を替わりなんとかその場は収まりました。

翌日、トイレに行きたければ授業中に行ってもかまわないと言うと、面白半分にトイレに行きたい!と言う児童が現れ、その波に乗るようにクラスが騒ぎ始め手を付けられない状態になってしまいます。

きみはいい子

お漏らしした生徒は自分が茶化されたと思い、言い出した生徒にランドセルを投げつけ怒りをあらわにします。

また、「清水キモクねww?」など悪口を書いた手紙が回っており、クラスの問題は山積みでした。

また、岡野は一人の児童が気になっていました。

給食費を滞納している神田でした。

神田が放課後いつも校庭の隅にいることに気づき話を聞くと、母親は仕事で家にはおらず、代わりに働いていない母親の彼氏がいつも家におり、5時までは家に帰ってくるなと言われていると話します。

また、別の日にどしゃ降りの雨の中、校庭の隅にいた神田に付き添い、家に向かうと家の前には不機嫌そうに母親の彼氏がいました。

担任であること伝え、雨が降っているので、と家に神田を入れてもらえるように話ますが、子供は外で遊ぶもんでしょと相手にしてもらえませんでした。

何度か訴えようやく家に入れてもらえた神田。

その後ろから入ろうとする男に「神田さんご飯食べてますか?」と聞くと怒鳴りながら詰め寄られ、その後無言で家に入っていきました。

家の中から大きな物音がしますが、岡野はそこから立ち去るしかできませんでした。

翌日、他の先生も交え、神田に家庭内での暴力はないか聞いてみますが、神田は声を出さずに首を横に振ります。

言えないんじゃないかと思った岡野は「ちょっとごめんね。」と神田の服をまくり身体を確認しようとしますが、他の先生方に止められます。そうすることで問題が大きくなるのを恐れているのでした。

結局神田さんの力になれず肩を落としたまま教室に戻ると、クラスは大変な騒ぎになっていました。

机の上を飛び回る男子、黒板の落書き、大声で叫ぶなど、収拾のつかない状態の中で、女子児童が清水が帰ったことを知らせます。

その後、母親に電話をすると、「娘が学校でいじめられている」と告げられます。清水の悪口を書いた手紙が見つかったことで、いじめがあるかもしれないと感じていましたがその対策が出来ておらず後悔します。

その上、帰宅途中に彼女が他の男性と親しく話しているのを見てしまい、完全に落ち込んでしまいます。

家に帰ると、姉が自分の子供に「おじちゃんに、頑張ってってしてあげて。」と言います。

岡野は、疲れてるから子供相手する元気が無いと言いますが、姉の子供に抱きしめられながら「頑張って」と言われ心が温かくなるのを感じました。

祖父が現れ、風呂に入るか?と言われるとあっと言う間に岡野から離れはしたものの、心の中にはまだ温かいものがあり、その様子を見ながら姉がこう言います。

「あたしがあの子に優しくすると、あの子は誰かに優しくしてくれるの。つまり、子供を可愛がれば世界が平和になるわけよ。」

次の日、岡野はクラスの児童に「家族の誰かに抱きしめてもらってくる」という宿題を出します。

みんなが口々に叫ぶ中、神田は暗い顔をしていました。

翌日、みんなに宿題が出来たか確認すると、それぞれ少し恥ずかしそうにやってきたことを伝えます。

不思議な気持ちになった、温かい気持ちになった、何も感じなかったなど、意見は様々でしたが、岡野はクラスと向き合え始めたことを実感します。

しかし、神田は学校には来ませんでした。

放課後、神田がいつもいたグラウンドの隅を見ても神田はおらず、時計は5時を回っていました。

岡野は学校から走って神田の家に向かいました、息を整えながら玄関の前に立ちます。

深い深呼吸をしながらノックをしましたが、返事はありません。

呼吸を整える岡野の目には逃げない意志が感じられました。

そして、もう一度ノックをします。

水木雅美の話

きみはいい子

夫がタイに単身赴任中の水木は、娘のあやねと2人で暮らしています。

近くの公園でママ友と楽しくおしゃべりをしながら過ごす中で、同じくママ友で2人の子供を育てている大宮陽子と一緒にいることが増えるようになります。

一緒にマンションまで帰っている途中、あやねがベビーカーを押したいと言うが、水木は危ないからダメと言います。

しかし、陽子が許可し、押し始めたとき、陽子の息子も手伝うといい押し合いになってしまい危うくベビーカーを倒してしまいそうになります。

自分の息子を叱る陽子でしたが、謝らないあやねに腹を立てた水木は家に帰ると、あやねを叩きながら叱ります。

泣いているあやねに対してもうるさい、なんで言うことが聞けないのと、異常なほどの叱り方をしますが、我に返ると自分がしてしまったことを後悔し一人で泣いていました。

水木も小さいころに親からの虐待を受けており、手首にはタバコの火傷の跡がありました。

ある日、陽子達と一緒に昼食を食べているときに、陽子があやねに「うちにはおもちゃもいっぱいあるしうちの子になっちゃう?」と冗談で聞くと、それを拒絶するようにイヤ!と水木に抱きつきます。

普段、虐待をしている自分に対してのあやねのこの感情に戸惑い、店のトイレに入り一人泣いてしまいます。トイレの外では彩音が心配そうに待っているのでした。

あやねの壊れた靴を直してもらうために、陽子の家を訪れた際に遊んでいたあやねが飛ばしたボールが当たり、水木はカップを割ってしまいます。

咄嗟にあやねを睨むと、あやねは普段の恐怖がよみがえり、その場にうずくまり泣き始めます。

異常な泣き方を怪しく思われたくない水木は、あやねを起こして帰ろうとしますが、そのとき陽子が水木を抱きしめてくれました。

陽子は水木の手首の火傷の跡に築いており、自分も虐待された過去があることや額の火傷の跡があることを水木に話始めます。

幼少期に助けてくれたのは、近所に住んでいたおばあちゃんで、その人が言う「べっぴんさん」という言葉に救われたのだと。

だから、自分も言ってあげたいと常々思っていたと話し、あやねに対しての言葉はそんな気持ちから来ていたことを打ち明けてくれます。

水木は陽子の言葉に涙を流し、追い込まれていた心が少し解放されていきました。

佐々木あきこの話

きみはいい子

桜が丘小学校の近くに住む佐々木あきこは80歳を超えて、自覚は無いが、認知症のような症状が出ていることに少し不安を感じていた。

ある日、スーパーで買い物をし、外に出ると店の人に呼び止められた。

未清算の商品を袋に入れており、万引きをしてしまったが、支払いはしたつもりになっていた。

一人暮らしと伝えると大ごとにはせずに解放してくれたが、落ち込むあきこ。

家に帰っても、落ち込んでいたが、掃除をしないとと立ち上がり、家の前を掃き始める。

すると、毎日あいさつをしてくれる小学生・櫻井 弘也が通りかかり、いつものように挨拶をしてくれた。

いつも偉いねというあきこに対して、「あいさつは人と会ったときにするものです。」と少し不思議な感じながらもはきはきと自分の意見が言える弘也をいい子だと思っていた。

後日、あきこがいつものように掃除をしようと、家の前に出ると、弘也がカバンの中身を取り出しながら鍵が無いと困っていました。

心配して話しかけると「鍵を貸してください」と言われます。自分の鍵では弘也の家の鍵は開けられないことを伝え、とりあえず家に招き弘也の母親に連絡を入れ待つことにします。

弘也を迎えに来た母親は先日スーパーで、あきこを引き留めた女性でした。

自分の子供が障害を持っており、人に謝り続ける生活を送ってきたことから、あきこにひたすら謝ります。

しかし、あきこは謝られる覚えがないどころか、こんなに素晴らしい子はいないと言い、毎日のあいさつや、仏壇を拝んでくれたことなどを伝えます。

障害を持つ息子との暮らしの中で褒められたことがない母親は泣き崩れます。あきこはそんな母親に、自分が子供がいないことや、羨ましいと思っていたことを伝えます。

それ以来、交流を持つようになり、後日行われた弘也の参観日も一緒に参加します。

廊下から見える景色を見て、「桜がキレイ」とまた呟きます。

認知症が進行しているのかもしれませんが、その笑顔はとても晴れやかでした。

きみはいい子見どころ

きみはいい子

意見の割れたラストシーン

ラストシーンは教師・岡野がドアをノックするシーンで終わります。

その部屋の中にいるはずの神田さんは無事なのか、翌日学校に来れるのかは一切分かりません。

このラストに映画を見た人からは賛否両論の声があったようです。

確かにモヤモヤとする気持ちになるのも分かります。

ただ、それこそが呉美保監督の狙いでもありました。

“人生は続く”、

それがこの映画では描きたかったことのひとつです。

疑問を残すような終わり方にあえてしているのですが、そこを結論づけていろんなことを丸くおさめるような作品ではないと思っているので、人生は続く、続けていかなければいけないんだと思ってもらえるようなラストシーンにしました。

見た方に想像していただきたい、見終わったあとにほかの人と語り合って欲しい。

呉美保監督

つまり、どう思った?と見た人が話してもらうことが大事であり、それが望みだったのです。

答えが簡単に出る話でもない問題は、議題に上げていくしかない。

そう思うと、このラストシーンからも色んなものを感じます。

宿題の答えを聞くシーン

まるでドキュメンタリーのようにも見えるあのシーンは、本来予定していた撮り方と変えた挑戦的な収録だったそうです。

収録の中で高良さんと生徒が向き合いながら関係性を築いていたのを知っていた監督が、実際にリハーサルもカメラの動きも決めずに撮ったようです。

決めて撮り始めると、大事なものが無くなってしまうような気がしたとのこと。

あのシーンは本当に生徒たちの生の声だったんですね。

漂う緊張感が心地よいシーンでした。

水木雅美役の尾野真千子さんの表情

ご本人曰く、役を聞いた時にはお断りすることも考えたそうですが、台本に目を通して希望もちゃんと残っていることから、引き受けたそうです。

きっと演じる意味がある。と。

その照準を感じさせないほど徹底しており、見ていて恐怖を感じるほどでした。

しかし、演技と言えども子供に暴力を振るうのはイヤだったようですね。

そんな親子役の2人は、収録以外では二人でアナと雪の女王を一緒に歌うほど仲良しのようです。

まとめ

「子供をかわいがれば、世界が平和になるわけ。」

冒頭でもお話しましたが、この言葉に尽きると思います。

ただ、そうもいかないのも事実。

水木がそうであったように、子供にどう接すればいいか分からない人も少なくはないでしょう。

大人も子供もそれぞれの社会や交わったこの世界で何かに悩んで立ち向かって生きています。

そんなことを忘れずに、逃げずに生きていきたいものです。

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